派遣ボランティアは派遣期間2年間(自分は現職参加なので1年と9カ月間)で
計5回「ボランティア報告書」を定期的にJICAに提出することになっています。 今回は赴任後18カ月の第4号報告書。 1 活動の進捗状況 基本的にこれまで行ってきた活動を継続して行い、深化・拡充・発展をねらう。 <基礎学習的活動> 学力の補てんを図り学習を楽しむ素地・態度や学習習慣を身につけるため 子どもたちの宿題の学習支援を個別対応で行っている。 フラッシュ百まい足し算を使って簡単な算数的活動に取り組んで基礎計算能力を身につけるとともに 自己の記録を目指す意欲、できる喜びや達成感を感じ自信を養うよう支援する。 <スポーツ・体育的活動、遊びの指導> 活動先施設で日頃子どもたちが行うスポーツはサッカーかフットサルがほとんどであった。 それ以外にバスケットボールを取り入れて新たな選択肢をつくり、 より幅広い子どもたちが楽しめるスポーツとして今後一層の拡大・普及・浸透を図っている。 <グループレクリエーション的活動> 集団遊びやペア遊びなどグループワーク、ペアワークに取り組む。 子どもたちの中に仲間と一緒に楽しむ様子が見られるようになってきた。 しかし、自己中心の意識はいまだ強いものの 集団の一員として仲間とともに協力することや相手をいたわる態度が 子どもたちから芽生えつつあるのが見受けられることもある。 これから一層の活動の継続・展開が必要になると考える。 2 課題解決に向けた取り組み・進捗・結果 前回挙げた課題として そもそも赴任当初から自分が子どもたちに行う活動について配属先の関心や協力もなく 協働で活動を行うという姿勢は皆無であり 人材としての自分がはたして配属先にとって本当に必要とされているのか疑問の念が拭えない という現状を述べた。 活動の対象となる子どもたちのために自分ひとりで地道に活動を重ねていき 配属先が自分の活動にわずかでも理解・協力することを期待していたが、困難を極めていた。 その折、JICAタイ事務所の担当ボランティア調整員とナショナルスタッフが自分の任地に訪問する機会があり 自分が日々子どもたちに対して行っているボランティア活動について 配属先に渾沌と説明して理解と協力を促した。 もはやとりたててこちらから進んで自分の活動ついて語ることをめっきりしなくなったので 自分の活動について丁寧に説明してくれたことはとてもありがたかった。 その甲斐あってか、未だ自分の活動に関心・協力の姿勢はないものの 配属先職員が自分を見る姿勢は少なからず改善された。 引き続き、子どもたちと活動を行うことで子どもたちの変容を通して 配属先に自分の活動について真の意味での理解・協力を期待したい。 3 活動事例の紹介 活動先でいくつか行っている活動から以下の2つの事例を紹介する。 (1)フラッシュ百まい足し算 0~9の組み合わせの足し算合計100枚のカードを次々に解答していくフラッシュ百まい足し算を取り組む。 赴任18カ月目現在、この活動に取り組んでいる子どもたちは100人を超え 初回の平均タイム4分48秒から取り組みを重ねるごとにつれて 最高タイムの平均3分43秒まで記録を伸ばすことができている。 基本的計算処理能力の向上や学習を楽しむ素地・態度の涵養という目的以上に 短縮時間にはそれぞれ個人差はあるものの、自己の記録を更新することで できる喜びや達成感を感じ、さらなる自信や意欲を培う手段として貢献している活動である。 (2)バスケットボールの普及 施設で子どもたちが行うスポーツ活動はサッカーかフットサルの一辺倒であった。 その中でバスケットボールを導入して子どもたちの中に余暇スポーツとして バスケットボールを行うという選択肢が少しずつ浸透普及している。 バスケットボールの裾野が拡大し、 より多くの子どもたちがいろいろな新しいものに取り組もうとする素地をつくり上げつつある。 今後自分の任期満了後も活動先施設で継続して 子どもたちによってバスケットボールを行うことができる手だてを考えていく。 4 受入国の人々の変化(活動のインパクト) 配属先施設がこれまでにも何人か個人ボランティアを受け入れている経験の中で、 配属先が考える当施設での「ボランティア」という固定観念があるように推察する。 それはJICAや自分自身が考えているような組織的な高次レベルのボランティア活動ではなく、 子どもたちの身の回りの世話を手伝ったり、ただ単に楽しく遊んだりといった簡易なもののように感じる。 それまでの「ボランティア」という固定概念を払拭できないため、 配属先職員にとっては、自分が活動先に赴任することによる影響は少ない。 一方、自分が活動を行う実際の対象である子どもたちにとっては 自分の活動によってそれぞれに少なからず変容が見られる。 さまざまな活動を子どもたちに対して地道に繰り返し行うことで その活動を純粋に楽しむという情操面の涵養に加え 活動に取り組む集中力の向上、活動をやり遂げようとする意欲、またやり遂げた達成感、 そしてそこから生まれるさらなる自信など、心情面の大きな成長が見受けられる。 何より自分たちの成長や行動を期待してそばで肯定的に見守ってもらえる存在としてこそが この活動先施設の子どもたちにとって今までなくて最も必要としていたものではないかと思う。 5 その他特記事項:「旅行・観光」 世界でも有数の観光立国と言えるタイ。 近年タイへの観光客は継続して増加しており、日本からの観光客も多い。 タイには首都バンコクをはじめとして、世界遺産のアユタヤやスコータイ、ビーチリゾートのプーケット、 グラビ、ピピ、サムイ、パタヤなどの多数の観光地に恵まれている。 旅の楽しみ方としても、タイ料理に代表されるグルメ、世界遺産や古都での寺院・遺跡巡り、 ビーチリゾートでのマリンスポーツ、美容健康や癒しを求めてタイ式マッサージ、スパなど それぞれ多彩で魅力ある観光コンテンツをもつ。 気軽に宿泊できる安価のゲストハウスから高級リゾートホテルまで豊富に揃い、 旅行スタイルに合わせて選ぶことができる 観光施設のインフラ面の整備充実の他に 「微笑みの国」のタイ人持ち前のもてなしの心にあふれるホスピタリティーの充実、 さらにタイの物価の安さも手伝って、 食事、宿泊、交通なども比較的リーズナブルなことが滞在の満足度を高めている。 さらに新たに外国人退職者をロングステイ観光客の対象とする長期滞在型観光も促進している。 このようにタイの観光産業は比較的順調に拡充を見せ 観光産業がタイの経済に占める地位は一層の向上を進めている。 以上。 次回報告書第5号(最終)は赴任後21カ月(任期終了時)になります。
by satoshi_0813
| 2010-12-22 21:56
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