派遣ボランティアは派遣期間2年間(自分は現職参加なので1年と9カ月間)で
計5回「ボランティア報告書」を定期的にJICAに提出することになっています。 今回は赴任後21カ月の最終第5号報告書。 1 活動結果 自分のボランティア活動を支える基本重要理念として「豊かさの基準は選択肢の多さにある」と考え そしてその「豊かさ(選択肢)」は自らの力で自らを高めようとする持続的な努力によって獲得することができ、 そのために必要な力として子どもたちの「自己成長力」を育むことが必要である、という考えがある。 そのような理念を基盤として ・基礎学習的活動 (「アタマ」を鍛える) ・スポーツ・体育的活動 (「カラダ」を鍛える) ・グループレクリエーション的活動 (「ココロ」を鍛える) を主な柱として取り組んだ。 子どもたちに対して大切にしたことは これらさまざまな体験や活動を仕組んでいって成功体験を積み重ねていくことへ導き 褒められるうれしさやできるよろこびを実感することを引き出し 子どもたちに「達成感」「自信」「意欲」を獲得していくように図ることである。 そして、成功体験を通じて獲得した「達成感」「自信」「意欲」によって さらなる新たな「達成感」「自信」「意欲」を引き出していく。 この3つの精神サイクルが上昇気流を生み出し 「自己肯定感」「自尊感情」「自主・自立・自律の精神」が芽生え 子どもたちが自分の力で成長するチカラ、 つまり「自己成長力」を育む目的の下、活動に取り組んできた。 ※具体的な活動および成果については別紙参照。 2 要請の妥当性 児童保護施設へのボランティアというものに関して、 派遣国タイではタンブン(徳を積む)ための活動 あるいは大学生が社会勉強の一環として行うという風土・文化が根強くあり 国家事業として戦略的に行われるボランティアというものとは 一線を画するものなのかもしれない。 また今回のボランティア要請内容についても 配属先は的確・適切に把握しているわけではなく、 とりわけ児童保護施設におけるボランティアが行う活動として そこまで重要視していないような姿勢がある。 そもそも赴任当初から 自分が子どもたちに行う活動について配属先の関心や協力もなく 協働で活動を行うという姿勢やボランティアから何かを学び取ろうという姿勢は皆無であり 人材としての自分がはたして配属先にとって本当に必要とされているのか疑問の念が拭えない、 という不遇な日々を過ごすことになった。 それでも活動の対象となる子どもたちのために自分ひとりで地道に活動を重ねていき 配属先が自分の活動にわずかでも理解・協力することを期待していたが、困難を極めていた。 以上、このようなボランティアに対する意識あるいは配属先の受け入れ体制の観点から 今回の要請は妥当であるとは言い難い。 3 活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性 自分のボランティア活動に対する配属先の関心や協力がないという受入体制上の困難もあり 自分と子どもたちとの活動の間に配属先が介在していなかった。 そのため、実際の活動においては 子どもたちを活動対象にした活動のみにしか広がりを見せることはできなかった。 よって活動成果が今後配属先によって活用される見込みは極めて薄いと考えられる。 しかし、自分が継続的に行ってきた活動の1つであるバスケットボールに関して、 コートにラインを引くなど環境を整えるなどわずかであるが動きを見せている。 また新たに配属先に赴任した職員が 自分と同じように子どもたちと近い距離でコミュニケーションを取ろうとしている姿が見られ そこに一筋の光明がうかがえるようになった。 むしろ配属先職員より活動の対象であった子どもたちの方に期待を寄せることができる。 自分が中心になって行ってきた活動や遊びを子どもたちの中から 真似ごとのようにでも行っていくことを期待している。 配属先への継続的な支援を行う必要はない。 職員体制や予算面など十分に自立して行えるだけのものは整っている。 要は職員ひとりひとりが子どもたちとどのように関わるかという意識の問題である。 4 ボランティア経験について 青年海外協力隊として自分自身が派遣された大きな目的のひとつであろう 「派遣国を豊かにする」というものの中にある「豊かさ」というものを 自身のボランティア活動のテーマにしながら日々の活動に取り組んだ。 その経験の中で「豊かさ」の本質についての考えを反芻していった先に 「豊かさの基準は選択肢の多さ」という考えに至り その考えを通して自分自身のボランティア活動の在り方を模索・検証していきながら そして自分自身の在り方について見つめることができた。 今後の自分にとっても、この考えが自分の世界の基盤となるものになるものと期待する。 また学校教育という枠組みで子どもたちと関わっていた経験の上に 今回の途上国における児童保護施設で(つまり学校という枠組み外で) 子どもたちと関わる経験が加わり、子どもたちたちを見る眼・洞察力・子ども観がさらに養われ、 子どもたちとの関わりにおける「懐の深さ」や「幅の広がり」が養われたように感じる。 今後の自分の教職経験にさらに活かすことができればと期する。 5 帰国後ボランティア経験を社会に還元または発信するための方法と計画 現職教員特別参加制度で青年海外協力隊ボランティア派遣され、 帰国後も再び学校教育現場に復帰することになる。 教壇に立って次世代を担う子どもたちに 自分が派遣国でのボランティア活動を通して知見・経験してきたことを語ることができる。 そのことによって日々の仕事の中で社会還元を行うことになる。 これは他の職種にはない教員であるから可能な特権的なメリットと言える。 自分のボランティア活動で培った海外生活体験や異文化理解をもとに 学級活動等の時間を使っての子どもたちへの国際理解教育を行うとともに 子どもたちだけではなく学校内外での教職員に対しての国際理解研修も考えられる。 また地元のJICA期間を通じて青年海外協力隊説明会などの場で県民に対して ボランティア経験を広く地域社会に伝えることも考えられる。 あるいは自分が派遣期間中に綴ったブログ(http://thai21jocv.exblog.jp/)を通じて 青年海外協力隊としてボランティア活動を行った経験を発信し続けることができるだろう。 以上。
by satoshi_0813
| 2011-03-15 22:22
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