この活動先施設チェンマイ少年の家に赴任して以来
子どもたちから何度も呼ばれてきた自分の名前。 タイ人にとって 日本語3文字が並んだだけでも長く感じるようで さらに 自分の下の名前3文字は タイ人にとっては発音しにくいようで。 呼ぶにはなかなか難しいよう。 いつしか 下の名前3文字のうち 頭のひと文字が脱落して それでも言い難さが伝わってくる。 そんなこんなしていたら ついに 自分の名前3文字のうち 末尾ひと文字で呼ばれることが多くなった。 「シ」(あるいは「シー」) もうこれ以上は削ぎ落とすことはできない究極のカタチ。 おまけに 上下関係を重んじるタイの文化にでは 年上の人につける「ピー」だとか 「職員、先生」を意味する「クルー」だとかをつけることがあるが 子どもたちはお構いなしに呼び捨てしてくれる。 一応の体裁を守ろうと配属先職員が呼び方に注意することもあるが 子どもたちと自分との関係に不自然な壁ができるような感じがして 注意をされる子どもたちに 「大丈夫。気にしてないし、気にする必要もない。」と目配せ。 自分と子どもたちの間には なんら一切の壁や枠組みも存在しない。 そんなこんなで過ごしてきた活動期間。 子どもたちにとっては 今まで出会ってきた「オトナ」という枠には収まらない存在に違いないだろう。 自分もオトナ側(つまり配属先職員のこと)よりも 常に子どもたち側に立っていた。 いつでも子どもたちの味方。 かと言って 「コドモ」と言うわけでもなく ちょっとカラダがでかくて力強そうで 自分たちを公正な目で見ている ひと目もふた目も置くようなちょっと特別な存在。 自分と仲のよい子どもたちほど 遠慮なく「シー!シー!」と呼んでくる。 この呼び方こそ なんだか自分と子どもたちとの関係を象徴しているようで 耳に飛び込むこの「シー」という歯擦音が心地よい。 「シー!シー!」 振り向いてそれが聞こえる元をたどると いつも子どもたちの笑顔があった。
by satoshi_0813
| 2011-03-10 23:04
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